コロナでも米国株はなぜ過去最高値?
米国の株価指数である米ダウ工業株30種平均(通称:ダウ平均)は、2020年11月24日に史上初めて3万ドルを超えて以来、史上最高値更新を続けています。
2020年といえば、コロナショックで世界中が不況に陥り経済危機を迎えた年。不況はまだ続いており、出口も見えない思いをしており、この結果に首をひねるかたも多いのではないでしょうか?未曾有の経済ショックの中で、米ダウ工業株30種平均はなぜ、過去最高値を記録できたのでしょうか?
ダウ平均は2017年には2万ドルに
まず、ダウ平均は2017年にその時点での過去最高値である2万ドルに達しています。今回の3万ドル突破は、2万ドル突破からわずか4年弱で1万ドル上昇したということになります。
この結果をリードしたのは巨大IT企業群です。アップル、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、アルファベット、フェイスブックの米企業5社の時価総額は7.1兆ドルであり、何とこれは、日本株全体を上回る数字です。巨大IT企業のパワーがよくわかる比較データですね。
では、コロナショックがどのように追い風になったのでしょうか?答えは単純です。巣篭もり需要で社会のデジタル化が進んだからです。皆さんもネットショッピングやデジタルサービスの使用がきっと増えたんじゃないでしょうか?また、コロナショックに対応し、各国政府は金融緩和策をとりました。そのお金が市場に流れ込み、IT株に集中したのです。
バイデン新政権も影響
さらに、2020年にはバイデン/ハリス政権が誕生しました。新大統領バイデン氏による大型の経済対策の成立や新型コロナウイルスのワクチン普及が進むとの見通しも買いを誘い、現在の過去最高値更新が続いているようです。
一般市民は恩恵を感じづらい…
しかし、いくらこういった経済指標が記録更新したからといって、イコール米国民の生活が安定するわけではありません。株価アップは含み益アップで、消費の追い風となるとされているものの、株式や投資信託を持っていない米国の一般市民は恩恵を感じにくいようです。また、業績を上げているのはIT企業などのごく一部。反対に、旅行業界、航空業界、飲食業界など、依然と苦しんでいる企業も多くあります。
とはいえ、米国は今年、世界経済回復をリードすると言われています。早く一般レベルまで前向きな影響が出て欲しいものだと、祈るばかりです。