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コロナショックも影響?日銀が「大株主」の企業増

日銀のETF(上場投資信託)(※)残高が、2021年2月末現在、35.7兆円(簿価ベース)に上っているというデータがあります。データによると、日銀は現在、約15兆円の含み益を抱えている計算になるそうです。

※ETFとは、日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)等の特定の指数に連動する運用成果をめざし、東京証券取引所などの金融商品取引所に上場している投資信託を指します。

画像は日本銀行ウェブサイトより

日銀は日本の株式市場最大の大株主

日銀が買い入れているETFはTOPIX連動型や日経平均株価連動型などであり、これにより、間接的に日本企業の株式を保有しています。2月16日時点の東証1部の時価総額は735兆円。日銀保有は50兆円なので、市場全体の約7%を保有していることになります。日銀は年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を上回り、国内最大の株主になったとみられます。これは、先進国では異例のことです。

コロナショック時に買い入れ枠倍増

日銀がそれだけの大株主になってことには、コロナショックも少なからず影響しているようです。日本銀行は、昨年、コロナショックの世界同時株安への対応策としてETF(上場投資信託)の年間の買い入れ上限を「12兆円」に引き上げました。その後、2020年3月の時点で、買い入れによる保有ETFの総額が31兆1738億円(時価)になっていることが、ニッセイ基礎研究所の試算により明らかになりました。

日銀が大株主の企業とは

ETF購入を通じて日銀が「大株主」になっている企業ランキングには、「ユニクロ」のファーストリテイリング(保有シェア19.6%)、TDK(19.0%)などが上位にあり、10%以上の株式を保有する企業の数は56社に上ります。そこには、オムロン、京セラ、ヤマハ、セコム、日本ハム、丸井グループ、電通グループ、資生堂などの名前が見られます。

株式保有シェアの上位に

日銀の動きは迅速です。ETFの買い入れを年間6兆円から12兆円へ倍増することを決めた2020年3月16日の緊急金融政策決定会合の翌17日には、1日の買い入れとしては過去最高の1216億円のETFを購入しています。

日銀の大規模な買い入れは、短期金利がゼロに近い中で、中長期金利を下げるために、中央銀行がリスク資産を購入することでリスクプレミアムを下げる「異例の措置」として実施されました。